煉獄日記

目指せ天国。

ひらいて、ひらいて

この夏に恋人ができた。もちろん夫とも今まで通り楽しく暮らしている。 恋人ができたことについて、夫と恋人という2人のパートナーを持つ生活について、モノガミーをこえる家族という理想に少しだけ近づいた今の私の「家族」について、なにか書きたいと思い…

揚げたてのとんかつと沖縄のギャル

とても悲しい訃報が届いた。 悲しいし、悔しい。私はただのいちファンにすぎないので、何もできることなんてなかったし、悔しいといっても何がどう悔しいのかもうまく説明できないけど、悔しい。そして、悲しい。 そうして体内に築かれた宗教が重なる誰かと…

わたしはまだ「王子様」になりたい

ひらりさ『それでも女をやっていく』(ワニブックス、2023)を読んだ。 女子校育ち、大学入学とともにある種のカルチャーショックを経験し、今もジェンダーについて考え続けているという彼女の経歴と本の構成、そしてそれを描く解像度の高い彼女の文章は、自…

温室育ち

昔どこかで読んだインタビューで、私と同じ女子校を卒業した人が母校のことを「動物園」と「天国」にたとえていた。本当に、動物園みたいな天国だったなと思う。 ちょっと書き留めておきたくなった、動物園みたいな天国で、しかも最高の温室だった母校のこと…

何も思い出さない

『ちょっと思い出しただけ』という映画を観た。池松壮亮と伊藤沙莉、主演2人の演技がとても良かった。 観た後にひとりになりたくなる映画と聴いてたから夫の外出中にひとりで観た。ひとりになりたいとは特に思わなかったけど、何も思い出しもしなかった。 大…

容量のムダ使い♡

最近、本が読めない。本と言っても、英語の研究書の話で、日本語の研究書ならぎり読めるから、「本が読めない」というのは不正確かもしれないが、とりあえず今わたしが読まねばならぬ「本」はほとんどすべてが英語の研究書なので、気持ちとしては「本が読め…

犬しか愛せないわけではない

私は夫のことをゴールデンレトリバーだと思っている。人懐こくて、だいたい誰にでもしっぽをぶんぶんしている、もふもふのあれ。かわいい。夫、実は人間だから、あんまりもふもふではないけど。 それゆえに、私と夫の関係は恋愛関係とは言い難い何かである。…

街も人も思い出だって 全てが移ろっていく

婚姻届を提出して1年と1ヵ月が経った。 あまりにも突然の結婚に「なんで結婚したの?」と問われることもしばしばで、そのたびに「そこに戸籍謄本があったから」と答えてきた1年だった。 だって「既婚者なってみたくな~い?」って尋ねてくる阿呆は世の中…

那覇の青山

ひと月ほど前、「洋服の青山」で人生初のメンズスーツを買った。とても良い買い物だった。 昨日その経験を友人(というか元彼)に話したら「それが本当なら、良かったね」と返された。がっかりして、呆れて、腹が立った。 「それが本当なら」? 「それが本当…

二代目襲名披露

たのしいしんこんせいかつ、みたいなことをしている。 まるで幼稚園児のおままごとみたい。でもわたしたちは30代のいい大人なので、これはまぎれもない「生活」ってやつ、だ、と、思う。 新しく引っ越した先は、初めてのワンルーム。愉快な隣人は毎日外でバ…

12月10日日本入国手続きメモ

12月9日にホノルルから飛行機に乗り、12月10日に日本へ入国した。 ハワイ州でオミクロン株の感染者が見つかったのは今から一週間くらい前だっけ。とりあえず、少しずつ増えているオミクロン陣取りゲームのだいぶ最初の方にやられたアメリカの州のひとつだっ…

幸せの定義なんてねじ曲げてやる

「誰かの“彼女”でいることに耐えられない」、そう言って前の彼氏と別れた数年前の私を、今の私はまだまだ断然支持している。よくやった、あのときの私。 よくやったと思う。だって、それはきっと相手にも周囲にも簡単には理解してもらえない理由だろうとわか…

正しさの境界線

最近なんだか涙もろい。疲れてんのかな。いや、たぶん、疲れてる訳じゃない。良いものに触れて、泣いているだけ。人にすすめられて『大豆田とわ子と三人の元夫』を観てる。「第4話がとてもいいよ」と言われて、何日か前に第4話までたどり着いた。 泣いた。馬…

マウナケアから沖縄へ

数週間前、久々に皆既月食があったらしい。ハワイ時間だと真夜中だったから、「まあいいか」と寝てしまった。でもTwitterを見ながら、なんか盛り上がってんなーと思っていた。 なんか盛り上がってんなーと思ったついでに、相変わらずTwitterではあるけれど、…

鬼を滅してスマイルして

年末に『鬼滅の刃』を一気読みした。3日ぐらいで。その少し前に友達から「鬼滅読んだ?」と訊かれて、感想を話したいから読んでくれということで。流行り物はとりあえず手を出してみるタイプ。というわけで読んだ。 まー、うん、なんだろうね。正直作品それ…

論文・ノート管理法

珍しく(ごく一部の人にとっては)実用的(かもしれない)内容を書きます。私がどうやって読んだ論文とそのノートを管理しているかという話。一応誰が読むかわからないので書いておくと、私は人文系の大学院生で、学期中は平均して週に本2~3冊、ジャーナル…

(約)365日

中学受験の問題によくある「〇月〇日~△月△日までの日数を求めなさい」というやつが苦手だ。手順や規則が多くて、どこかで間違えてしまいそうでおろおろする。 日本を出て1年が経った。365日。あれ、366日?367日?とりあえず1年。2019年8月11日に出国&入国…

『生きるとか死ぬとか父親とか』、母親とか。

いま日本は7月7日、母の誕生日だ。七夕生まれの母は今日、70歳になった。 ここ数年はなぜか、母の誕生日というか7月の存在を毎年6月末まで忘れていて、「もう6月も終わりか~」と思っては「ていうかあと一週間でお母さんの誕生日じゃん!」と思い出して焦る…

欧米人の見た相撲③イギリス外交官ミットフォード

ペリーとその周辺の人たちの話を書いてからすっかりご無沙汰になっていたけれど、実は夏休みに入ってからまたちょこちょことリサーチを進めていた。明治時代に相撲を観たり、相撲について書いてる欧米人は想像以上に多くて、探せば探すほど次々出て来るのが…

罪悪感の行方

"Silence is complicity" という言葉を少し前に友人のSNS投稿で見かけた。"Silence is complicity"、直訳すれば、「沈黙は共犯」。 初めて学術雑誌に載った論文のタイトルに、私は「沈黙の罪」という言葉を入れた。人種差別を目の前で目撃しながら抗議するこ…

スライムにならないために

今週の授業でジャック・ラカンの鏡像段階についての論文を読んだ。すごくざっくり言えば、赤ん坊が鏡を見て「あ、あれ私だ~!」と気づき、鏡に映った像、つまり「鏡像」を通して自我を手に入れるという話。自我、言い換えるならば「私の考え」とか「私らし…

その気持ちを聞かせてほしい

この一週間くらいで、うっかりドラマ版『凪のお暇』の第一話だけを2回も観てしまった。2回観て、2回とも同じところで一瞬息ができなくなった。「うっかり」と言ったのも、2回目に観たときに「あ、あのシーンが来る」と身構えたときには時すでに遅し、そのシ…

ともだち100人できるかな

夏休みだ。ハワイで過ごす初めての夏休み。そして何より、留学一年目を生き延びた後の夏休み。今日すべての課題を提出して夏休みに入ったばかりなので、正直まだ実感はないし、ただただ気が抜けている感じ。でも、こうやってぼーっとすることも学期末を駆け…

布哇事情(4/22)

相変わらずの外出規制が続いている。とはいえ、適度な散歩や食料品・日用品の買い出しは可能なので、たまに外に出かけては街の様子を見ている。 週末には近所のドラッグストアへ行ってきた。店内にいる人数があまり多くならないように規制されていて、おそら…

泣きながら生れてきた僕たちはたぶんピンチに強い

「感謝カンゲキ雨嵐」っていう曲名のダサさがいかにも若手のジャニーズっぽくて結構好き。最近なぜかしょっちゅう嵐を聴いている。中高生の頃に聴いていた、割と古めの曲。久々にじっくり聴いていたら、「Hero」という曲に「夢を共に追いかけたあの仲間たち…

こんな時にたちの悪い風邪をひいた

先週の月曜から丸一週間以上、風邪らしきもので寝込んだ。一昨日くらいからようやく起き上がる元気が出てきて、昨日から大学院のオンライン授業にも復帰している。まさかコロナウイルス大流行中のこの時期に、こんな風に倒れるとは思わなかった。念のためう…

身を守るすべ

じわじわと心が削られてきているのを感じる。ハワイのこのせまい部屋で、同居する大家さんと隣り合わせ。壁が薄いので、互いの音はとてもよく聞こえる。どれくらい薄いかといえば、大家さんの電話の会話も観ているテレビ番組の内容も8割はわかってしまうくら…

キキとアンと「小さな子供」

金曜ロードショーで放送されたらしく、少し前から映画『魔女の宅急便』の感想をちらほら見かける。それを見てもやっとした私は、「私は魔女宅のような作品をどうしても好きになれない自分を好きになれない部分が自分の中にあるということを自分の強みとも弱…

欧米人の見た相撲②ペリー周辺

昨日の「欧米人の見た相撲①ペリー」の続き。今日はペリーの通訳だったウィリアムズと、ペリーの伝記を書いたグリフィスについて。 「ペリーは実は相撲に圧倒されている部分もあったのでは?」というようなことを昨日は書いたが、今日の2人はもっとクールだ。…

欧米人の見た相撲①ペリー

朝乃山大関昇進おめでとう!とてもめでたい。新入幕のころから「いいなぁ」と思っていた力士が大関に昇進するなんて、こんなにめでたいことはない。めでたいついでに、そして相撲ロスを癒すついでに、さらには無観客相撲を乗り切った相撲協会への称賛の気持…