煉獄日記

目指せ天国。

2020年の日常

今週は春休みなので少し余裕がある。といっても、いつだって「課題は続くよどこまでも」状態なので、暇というわけではないが。

余裕があるついでに、普段なら書こうと思わない私の日常のことを書いてみよう。アメリカに留学した人文系大学院生の日常はこんな感じですよ、と。誰かの参考になるかもしれないし、ならないかもしれない。とりあえず数年後に自分で見返して「嗚呼」と思うためくらいには役立つだろう。

細かく答えるのが面倒なので、人から「普段何してるの?」と聞かれたら「ずーっと勉強してる」と答えている。嘘ではないけど、完全に本当ではもちろんない。では、どこが嘘なのか見ていきましょう。

 

朝起きるのは7~8時。日によってばらつきがあるけど、8時には起きるようにしている。そして9時ころまでにシャワーを浴びて、朝ご飯を食べて、外に出て一服して、学校へ行く日はその準備もする。ただの朝の支度の時間。

9時か10時には勉強開始。学校がある日には9時ころには家を出てバスに乗っていく。バスがなっかなか来ないので、所要時間は15~40分と恐ろしいほどばらつきがある。一応時間を確認するアプリがあるので、それを見て「これは待てない」というときは、片道徒歩30分の上り坂を歩いて登校する時もある。

学校がない日には13~15時で長めの昼休憩をとって、その後夕飯まで再び勉強する。昼休憩の時には、たいてい眠くて仕方がないので昼寝をすることも多い。「昼休憩長くね?」と思われるだろうけど、食後は頑張っても無理なので休憩した方がまだ有意義、とこの半年で学び、このような形にしている。眠いと本読めないんだもん。

学校がある日は、授業まで図書館で勉強した後、15分ほどでランチを済ませ、12~15時くらいで授業。そして終わり次第さっさと帰ってくる。そして30分くらい休憩した後、この場合も夕飯まで勉強する。

金曜日だけは、買い物に行く日と決めているので、昼ご飯を食べ終わったらスーパーへ出かけていき、1週間分の食料品等を買い込んで帰ってくる。大きなエコバッグか、小型のカートをひきずって大量の食品を買ってくるのだ。ちょっとくらい休みも欲しいので、金曜午後は買い物ついでにオフにすることもある。そしてカラオケに行ったりしている。

夕飯は19~20時。作る・食べる・片付ける・一服するの全行程を1時間で終わらせるように努力する。だから夕飯もとにかく手早く作れるものがよくて、だいたい肉と野菜を鍋かフライパンに放り込んで煮たり焼いたりしたものを食べている。ちなみに半年で6㎏やせた。

20~22時でさらに勉強。できればあまり負荷の高くない、日本語関連のものや自分の専門の内容を読むことが多い。この時間にライティングはあまりやらない。目がさえちゃうから。22時を過ぎれば自由時間だ。やっときた自由時間!お相撲期間はお相撲を見て、それ以外のときはそれこそこのブログを書いたり、漫画を読んだり、YouTubeを観たりしている。

木曜日だけは18~20時半という残酷な時間設定の授業(内容は最高に面白い)があるので、夕方改めて出かけていき、21時過ぎに帰宅する。もう勉強はしない。木曜日はそこで閉店です。

 

というわけで、学校の無い日(今は水・金・週末)でも10時間くらいしか勉強してない。そしてもちろんこれは理想であって、途中でタバコ吸いに行ったりしているし、昼休憩や夕飯の時間がのびることもあるし(縮むことはない)、平均したら8時間もやってないかもしれない。

学校のある日にいたってはとにかく往復と授業に出るだけでくたくたになるので、授業をのぞいたら合計で5時間ほどしか勉強してないことも多い。

「ずーっと勉強している」というにはあまりに少ない気もするが、これがいまの私の限界だ。半年かけてこのようなペースに落ち着いて、ようやくこの生活には持続可能性を感じている。これ以上がんばったらどこかで壊れちゃうよ。無理です。

 

じゃあ「勉強」と言っているけどそれは何を指すのか。基本的にはそれぞれの授業から出る、大量のリーディング課題を指す。

私は運よく2年間の奨学金を受けているので、今は働く必要なく本当に勉強だけをしていられる。ありがたい。なので1学期につき3つの授業を取り、前学期も今学期も9単位を取得しようとしている。このペースでいけば、アメリカの大学院で直面する最初の試練「コースワーク」がとりあえず2年間で終わる予定だ。

授業の課題はどのくらいかというと、基本的には1週間につき本1冊だ。プラスで論文等のリーディングが出ることもある。だから1授業につき、1週間に300~400ページのリーディングが出ることになる。

本のサマリーを書いてきて、とか、短いレスポンスを書いてきて、などのライティングが毎週課される授業もある。あとは授業で一度はプレゼンテーションをすることが多いので、その準備もしなければいけない。ちなみに大抵の授業は学期末に短めの論文1本分くらいのペーパーを書かなければならないので、その準備も学期の中頃(つまり今頃)から始める。

私は3つの授業のうち1つで前学期も今学期も日本近代・古典文学をとっていて、その課題だけはちょっと楽だ。こちらはイメージとしては高校の授業1コマ分の予習くらいな感じである。もちろんそれは、私が日本語ネイティヴだからであり、他のクラスメイトは割と苦労しているようだけど。

まとめると、私が今1週間に出されている課題は、英語のリーディングが600~700ページ、本のサマリー1本、日本古典文学の英訳を1ページ、その他ちょろちょろという感じだろうか。

「1週間に出されている課題」と書いたのは、もちろんその全部が終わらないからである。特にリーディングはいつも半分くらいしか終わらない。つらい。でも終わらないなりに課題をこなし、ディスカッションに参加する謎のスキルもついてきているので、それはそれでよしとする。今のところはね。

 

うーん、やっぱりこれを見ると、「勉強しかしてない」というのもあながち嘘ではないのかもね。少なくとも、勉強以外のことはたいていが生きるために必要なことで、遊んだりは全然してない。いや、たまにカラオケ行ってるけど、でもそれだけ。ワークライフバランスとか知ったこっちゃない。私のワークは私のライフだ。

そしてひとつ、変なことを言うが、これが日本にいたころより楽なのだ。楽しいというより、楽。勉強量が圧倒的に増えているし、海外生活でストレスたまるし、でもそういうことを含めても、日本にいたころより楽だ。

まず生活の心配をしなくていい。奨学金万歳。たとえ奨学金がなくても、そもそもアメリカの大学院(特に博士課程)は経済的に危ない場合は入れてもらえない。入れてくれたら何かしら仕事を与えてくれたり割とちゃんと世話をしてくれる。だから「授業料さえ払ってれば好きにしてて」みたいな日本の大学院よりずっと安心感がある。

あとこれは海外にいるからかもしれないけど、勉強以外のことを考えなくていい。「普通の生活」みたいなものを完全にあきらめているので、心身の健康だけに気を付けて、残りの日本にいたら気にしてしまうであろういろんなことを無視して生きていくことができる。というか、課題が本当に終わらないので、自然とそうなっているのだけど、それが案外気楽でいいじゃんと思っている。

 

見ての通り極端な生活なので、向き不向きはあると思いますが、とりあえずせっかく留学しているのでその経験をシェアです。さて今日も勉強すっかなー。